未来へのボール*FALL*
Ⅰ 戸惑う女の子
〔side羅琉〕
《ヒュゥゥ…》
独特な暖かさを持った風が、
あたしの前を通りすぎる。
「秋だなぁ…。」
声に出した。
暑い夏も終わり、
過ごしやすい秋が来た。
《ガラッ》
教室のドアを開ける。
「おっはよー!ラルぅー。」
真っ先に聞こえたのは
ミツの大きな挨拶の声。
「おはよ。」
あたしの返事はいつもと変わらない。
「ね、今日ね、部活無しだって!!
放課後2人で遊ぼーよ♪」
「え?部活無し?」
知らなかった。
「え、昨日の練習の後に
部長が言ってたよ?」
聞いてなかったし…。
なんかもう、最近駄目だな。
体が言うことを聞かない。
いつの間にか、ある一点を見つめて
周りがまったく見えなくなる。