未来へのボール*FALL*
「……何、急に黙って。」
ブスッとした表情で、椿は俺に言った。
――知りたい。
「…教えて欲しい。」
気づけば、声に出していた。
「は?何を。」
意味が分からないらしい。
俺は、"今"のラルしか知らない。
闇を抱えた、"今"しか。
闇を抱える前の、
"前"のラルが知りたい。
俺は見たことはあっても、
人格は知らないから。
「――ラルの、ことを。」
椿は目を見開いた。
「…っ何、あんた。
ラルのこと好きなの?」
"好き"?
"好き"だって?
「そんな言葉で、表せない。」
守ってやりたい。
震えを止めてやりたい。
闇を払ってやりたい。
幸せに、してやりたい。
俺は、ラルが
愛しくて堪らないんだ。