未来へのボール*FALL*
Ⅴ 橘と椿
〔side綾芽〕
「マリッ!学校行こ?」
「分かった分かった。今行くって。」
マリから突然の告白をされてから、
一週間が経っていた。
あたしはまだ、
マリが施設から出るという
現実を受け入れられずにいた。
マリが居なくなったら、
誰があたしの味方でいてくれる?
あたしには、マリ以外いないのに。
「アヤメ?学校行くんじゃないの?」
「……。」
目の前に居るのは、
正真正銘のマリ本人である。
でも、こうしてあたしの目の前に
マリが居るのは、居てくれるのは。
あと、一体どれくらいなんだろう。
「……アヤメ?」
あたしは、あとどれくらいで
1人になるんだろう。
「……ね、マリ。」
「ん?」
「ココ、いつ出るの?」
「えっ…。」