未来へのボール*FALL*
「………っ…。」
流れる涙と苦しい程の嗚咽で、
あたしは何も声に出せなかった。
「……じゃあ、私行くね。」
行かないで。行かないで。
ずっと一緒に居ようよ。
弱いあたしは、それさえも言えない。
「アヤメ!!バイバイッ!
泣かないでっ!幸せになって!!」
マリは走る車の窓から頭を出し、
大声であたしに言った。
その車は、一分も経たないうちに
見えなくなった。
マリは、行ってしまった。