未来へのボール*FALL*

《ザァァァ…》

電車を降りて、

どこかも分からない駅から町に出た。


……あれ。

あたし、目がおかしくなった?

周りの世界に、色が無い。

白、黒、灰色。

白黒写真みたいな町だ。


何も無い。

ただ感じるのは、雨の冷たさ。

夏でも、雨って冷たいんだね。


目の前が一瞬霞んだ。

あれ。何だこれ。気持ち悪い。


グラグラする。

歩きたくないと体が言う。

あたしはどこかも分からない場所に

しゃがみ込む。


《ザァァァ…》

まだまだ、降るみたい。


冷たい。気持ち悪い。寒い。

何してんだろ、こんなとこで。


あたしは、要らない存在だった。

あたしは、邪魔な存在だった。


そんなあたしの言葉を

否定してくれる親友も、

もう居ない。もう会えない。


あたしを必要としてくれる人は、

もうどこにも居ない。




< 67 / 142 >

この作品をシェア

pagetop