未来へのボール*FALL*
《ザァァァ…》
電車を降りて、
どこかも分からない駅から町に出た。
……あれ。
あたし、目がおかしくなった?
周りの世界に、色が無い。
白、黒、灰色。
白黒写真みたいな町だ。
何も無い。
ただ感じるのは、雨の冷たさ。
夏でも、雨って冷たいんだね。
目の前が一瞬霞んだ。
あれ。何だこれ。気持ち悪い。
グラグラする。
歩きたくないと体が言う。
あたしはどこかも分からない場所に
しゃがみ込む。
《ザァァァ…》
まだまだ、降るみたい。
冷たい。気持ち悪い。寒い。
何してんだろ、こんなとこで。
あたしは、要らない存在だった。
あたしは、邪魔な存在だった。
そんなあたしの言葉を
否定してくれる親友も、
もう居ない。もう会えない。
あたしを必要としてくれる人は、
もうどこにも居ない。