未来へのボール*FALL*
顔をそぅっと、声のする方に上げる。
そこには、傘を差している少女が。
暗闇で、顔はよく見えなかった。
でも、傘を差しているにも関わらず
頭からは雨水が滴り落ちていた。
ポツリ。
あたしの頬に若干温めの雨水が落ち、
初めてこの人に
傘を差してもらっていると気づいた。
「……何してんの。」
三度め。
それにも関わらず声色は変わらない。
「……この世界について、考えてた。」
あたしは、そう答えた。
「………ふぅん。で?」
「………え。」
聞き返されるとは思ってたけど。
何のことか、分からない。
「この世界は、どんな世界?」
…………。
そういう、質問。
「……不必要、と言う存在がある
時の流れに逆らえない、
残酷で、色の無い世界。」
「……へぇ。あなたには
世界はそう見えているのか。」
相変わらず、顔はよく見えない。