未来へのボール*FALL*
「つばき。」
さらっとあたしの"名"を呼んだ。
透き通る、ソプラノの声で。
「今日、うち泊まってきなよ。」
「………え。」
今、何て言った?
「もう、うち着いたし。
つばき、ずぶ濡れだしさ。ね?」
「え、ちょっと待っ…。」
《ガチャッ》
あたしが返事をする前に、
彼女はドアを開けてしまった。
熱って、怖い。
意識がボーッっとする。
そんなに歩いた感じはしないのに、
いつの間にか
ラルの家の前まで来ていた。
「ただいま。」
ラルは、中に入った。
……あたしの腕を掴んだまま。
《バタッバタッ》
……何か、凄い音がする。
「オイコラァッ!ラルッ!
お前、帰り遅すぎだろうがっ!!」
「……はいはい。」
廊下の先のドアから出てきたのは
ラルと同じように、
超絶美形の男の子だった。