未来へのボール*FALL*
そして、3年の最後の試合。
あたし達3年にとっては
中学バスケの集大成とも言える、
夏の全国大会の決勝戦を迎える。
「「「「「……。」」」」」
真鶴中女子バスケ部選手控え室には、
中学女子バスケ界トップの
5人が集まって精神統一していた。
「―――皆。」
沈黙を透き通る声でさらりと破ったのは
他でもない、
我等がキャプテンのラルだった。
「今まで、ありがとう。
最後の試合。いつも通り頑張ろう。」
決勝戦だと言うのに、いつもの、
それも地区大会から
変わらないこの呼び掛け。
"いつも通り"
それを自身の言葉で表していて、
何ともラルらしい、と思った。
「当然。」
1番始めに
ラルに言葉を返したのはスイ。
「いつも通り…ねぇ。」
次に返したのはラン。
「まぁ、頑張るよ。」
次に返したのはミナト。
そして、最後に返すのが。
「絶対に勝つから。」
あたし。
「じゃ、行こうか。」
「「「「うぇーい。」」」」
本当にいつも通りゆるゆるの掛け声(?)。
他の団体が聞いたらどう思うのかな。
そうして、幕が上がった。