未来へのボール*FALL*
試合開始からある程度の時間が流れる。
ラルはいつも通り絶好調だった。
あたしも何本かシュートを決めていた。
《ピーーッ!!》
前半終了のホイッスルが鳴り響く。
もうすでに、真鶴中は前半の時点で
相手チームとの点差は
大きいものだった。
メンバーの体調も皆絶好調で、
特に大きな怪我も無い。
最後の試合の、
最後の後半戦を楽しもう。
そう、思っていた。
「……皆。ごめん。」
この周囲から見たら
圧倒的とも言える状況下で
突然謝罪をしたのは、ラルだった。
チームメイト全員、少々困惑。
そして沈黙。
「……何がごめんなの、ラル。」
皆が沈黙を耐える中、スイが聞いた。
ラルは少し、眉を潜めた。
そして言ったのだ。
「あたし、後半戦には出られない。」