彼は人魚姫!
「僕が質問したんだけど。フフッ。まっ、いっか。……あるよ。一度だけ。すっごい本気になってる」


「もしかして現在進行形ですか?羨ましいなぁ」


「羨ましい?」


「あ、だってオーナーみたいな素敵な人に想われるんですよ。もうめちゃくちゃ幸せですよ。私だったら最高ですね」


あくまで一般論として。
この一言でまた苦しむ事になるなんて思いもしなかった。


「ほんとにそう思う?」


「はい」


ほんのちょっとの間。
オーナーの優しい目がキリッと締まった。


「もうこれ以上我慢出来ない。……好きになった」


全身が固まって動かない。
心臓だけ速度を上げて行く。
この兄弟はどこまで積極的なの?
しぃがあたしを好きな事も知った上での告白だよね。
それって、これって。
あたし、どっちを選んでも………。
でも、頭とは裏腹に心は弾けてる。
誕生日とクリスマスイブがいっぺんに来たみたいに。
もらうはずのなかったプレゼントをもらったような。
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