彼は人魚姫！

｢え？あ、アハハ。何を？あの、オーナー、変な冗談は止めて下さい。本気にしたら責任取ってくれるんですか？｣


そう。出来るだけ間違いだと思おう。
オーナーが『ごめん。ごめん。からかっちゃダメだよね』って、言ってくれるのを期待してる。
ほんとは悲しい期待。
真剣な告白だと思いたい。
そんなあたしの押さえつけた小さな気持ちが、言葉の隅っこに出てしまう。
あたし、やっぱりオーナーが好きなの？
あたしも一目惚れしたの？
ダメだ。しぃでしょ？
どうして大人しく先着順に好きになれないの？
好きな気持ちに順番はないの？
いきなり一番になる事があるの？
しぃを好きなんだから、オーナーは好きになっても二番じゃないの？
なんで胸が苦しいの？
一緒にいたいのに逃げ出したい。
抱きつきたいのに突き飛ばしたい。
どうしてここにいるの？
どうして今、会ってしまったの？
どうしてオーナーがよぼよぼのおじいさんじゃないの？
なんでそんなに素敵なの？
どうしてこんなに側にいたいの？
本能で好きになってしまったの？