彼は人魚姫!
「……あっ、そうだ!」
ぼんやりとしていた頭を再起動させる。
慌ててドアにかかっているプレートをcloseにすると店の奥に戻った。
「しぃ…」
しぃはまだ目を開けていなかった。
どうしよう。迷っている場合じゃないかもしれない。
重大な病気だったら取り返しがつかなくなるかもしれない。
過労なら、このまま寝かせて休ませてあげれば回復してくれるかも。
明日は店を休んで、一日ゆっくりさせて…。
オーナーには申し訳ないけど。
「明日は休もうね。しぃ、ずっと働いてくれてたから。ごめんね。あたし、しぃに甘えてた。ごめん。だから…起きて。お願い。目を覚まして。まだ…、しぃと離れたくない」
何だろう。
心の中も外も全部引っかき回されるのに、それがそんなに嫌じゃない。
この整った美しい顔が全てを帳消しにしてしまうのか。
眩しい肉体がドキドキさせて、訳分かんなくしてるのか。
とにかく、このまましぃと離れる訳には行かない。
手放せない。
しぃの額にかかった髪をそっと撫で、ふと自分の顔をしぃの顔に近付けた。