彼は人魚姫!
「そんな格好?変?」


「変だって!服は?なんで着てないの?おかしいでしょ?」


わわ…。怒っちゃった。
記憶喪失かもしれない相手にキレるなんて、最低だよ。
あたし。


「ボク、」


「うん」


「人魚かも。ね?」


屈託ない顔で笑うなって。
この状況じゃ、ほんとにそうだと思いたい。


「あはは。そうだね。人魚かもね。泡にならないように気を付けて」


「うん!ありがとう。ママって優しいね」


『人魚姫』の童話の話は覚えてるんだ…。
大事なとこだけ記憶がなくなってるってコト?
思いっきり辛い何かがあったとか。
忘れたい現実がある?


でも、なんであたしがママなんだ?
そこのところは、やっぱり、こいつが鳥の『ヒナ』という事で納得するしかないか。
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