新撰組刹那綴-霞草-
「おっ、気がついたかい」
現れたのは腹に大きな刀傷がある
大柄な男。
「ったく、土方さんも斎藤も
えげつなねぇよなァ。
嬢ちゃん相手にここまでやるなんて」
言いながら男は
私の拘束をといてくれた。
「俺は原田左之助ってんだ。
よろしくな」
ニッと歯を見せて笑う
原田という男に私は軽く会釈する。
「よし!嬢ちゃん。
ちょいと立てるかい?
俺と来てほしいんだが」
私は立ち上がると
原田に左手を捕まれた。
"疑ってる訳じゃねぇけど
逃げないように"だそうだ。
私は原田に引っ張られながら
後をついていった。