新撰組刹那綴-霞草-



「ひ……っ!!」


なんで?
切った時にはこんなもの
なかったはずなのに!



「磯部くん。
これらのものについて
思い当たることはあるかね?」

近藤さんの問いに
私は首を横に振った。


「実はここのところ京の町で
このような事件が多発していてね。
人が死ぬと毎回といっていい程
この家紋と文字がどこかに
浮かび上がっているんだ」


「え……」


「皆、祟りだと言って瓦版などで
このことを公にすることを
ためらってね。
人知れず我々に力を借りにくる者が
大勢いるといった状況だ」


「しかしいくら俺達でも
なんの手がかりもないものを
捜査することはできねぇ。
そこで、だ」


「……?」


なんだろう。
嫌な予感がする……。


「女。お前は盗みを犯した。
本来なら
潔く死んでもらうところだが
この捜査に協力するなら
見逃してやる」




「!?」



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