STAR QUEST
「なんか、あの子の一点、一点に本気の無さが感じられるのよね」
…本気の無さ?
「どういう事だ?」
ライはクスッと笑った。
「分からない?彼女は世間で騒がれる武道使いよ。でも、今日の戦いで彼女は獣の様な物にばっかり頼っていた。彼女自身、私達に手を出していないのよ」
「…はあ。ただの考えすぎだろ。俺たちが強すぎて手を出す隙もなかったんじゃあねェの」
「いいえ!!きっと、何か理由があるのよ!!もしかしたら、私が知らない強大な力なのかも!!はあ~見てみたいわ。あの子の本当の力っ」
「……この魔法オタクが」
俺はライの興奮姿を見て、呆れながら苦笑した。
「でも……アイツが本当の力を出してないのなら、俺達は余計ざまあねェな」
「うん?何故?」
「俺達はダークネスマジック候補の魔法にやられたんだ。もしこれが弱気で、アイツの本気の実力とご対面してたなら…俺達は」
「…もう。その、話は辞め。いつまでも引きずらないで。ダークネスマジックの事」
…引きずるな、か。俺だって、もうとっくのとうにそういう事ができてたなら…
今も引きずってねェんだ。
「ゴメン。ライちょっと出て行ってくれねェ?一人になりたい」
「え?…ごめんなさい、気を悪くしちゃった?」
「いや。そういう事じゃない。ただ…ゴメン」
「…そう。分かった。じゃまた明日。…お休み」
「お休み。あ、ライ」
「なあに?」