STAR QUEST

「なんか、あの子の一点、一点に本気の無さが感じられるのよね」

…本気の無さ?

「どういう事だ?」

ライはクスッと笑った。

「分からない?彼女は世間で騒がれる武道使いよ。でも、今日の戦いで彼女は獣の様な物にばっかり頼っていた。彼女自身、私達に手を出していないのよ」

「…はあ。ただの考えすぎだろ。俺たちが強すぎて手を出す隙もなかったんじゃあねェの」

「いいえ!!きっと、何か理由があるのよ!!もしかしたら、私が知らない強大な力なのかも!!はあ~見てみたいわ。あの子の本当の力っ」

「……この魔法オタクが」

俺はライの興奮姿を見て、呆れながら苦笑した。

「でも……アイツが本当の力を出してないのなら、俺達は余計ざまあねェな」

「うん?何故?」

「俺達はダークネスマジック候補の魔法にやられたんだ。もしこれが弱気で、アイツの本気の実力とご対面してたなら…俺達は」

「…もう。その、話は辞め。いつまでも引きずらないで。ダークネスマジックの事」

…引きずるな、か。俺だって、もうとっくのとうにそういう事ができてたなら…

今も引きずってねェんだ。

「ゴメン。ライちょっと出て行ってくれねェ?一人になりたい」

「え?…ごめんなさい、気を悪くしちゃった?」

「いや。そういう事じゃない。ただ…ゴメン」

「…そう。分かった。じゃまた明日。…お休み」

「お休み。あ、ライ」

「なあに?」
< 33 / 66 >

この作品をシェア

pagetop