未来へのボール*WINTER*
聞こえた声と、視界に入ったその姿は、
ぴったりと重なるモノがあった。
「……ら、ラル…?」
俺の小さな声がわずかに響いた。
《タンッ…タンッ…タンッ…》
上履きが床を叩く音がする。
そして、少しずつ大きくなる。
「……阿賀…生徒会長。」
その小さな体は、
俺の前に、影を作った。
"生徒会長"。その響きは、
懐かしいと言えば懐かしい。
けれど、目の前のラルを見たら
何とも言えない
モヤモヤした気分になる。
「……どうした?」
出来る限りの柔かな声を出した。
目の前のラルは、変わっていなかった。
ただ、瞳がガラス玉のようだった。