未来へのボール*WINTER*

…え。

今何て言ったこの人(2回目)。


『お前、俺のこと好きじゃん。』


「……っ‼︎‼︎」


「ふは、顔真っ赤。」


「うるさっ…!」

え、嘘。


何だソレ。

いつから…いつから気付かれてた?

恥ずかしすぎる。


「ライも回復してるし、

もうそろそろ大丈夫かなーって

思ったんだけどなぁ。」


「いや、…その…。」

恥ずかしすぎて言葉にならない。


あぁ、顔が火照る。

寒いとか言ってたさっきまでの自分

戻ってきて本気で。


「…なぁ、ダメ?」


「…っ…!」

手を握られた。


大きくて、綺麗で、大好きな手。

爪なんかホントに綺麗で…あぁ待って。

落ち着け。落ち着けあたし。


この数週間、サクト先輩とは

ただの先輩後輩よりは

ずっと近い距離で接してきたと思う。


サクト先輩には、…一応…その、

告白と言うモノはされたし、

あたしも、サクト先輩のことは好きで。


ここに断る理由があったとしたら、

あたしの"逃げ"のせいだった。


けど、どうだろう。

今……あたしにはその

"逃げ"が出来ないのだ。


「…ううぅぅ…。」

唸り声しか出てこない。

何たることだ。


恥ずかしすぎて目を逸らしたら、

握られた手に意識が集中する。

逃げ場がない。さすが先輩。




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