未来へのボール*WINTER*

「……ラル。テメェ…。」

あたしのサクト先輩をど突いた手が、

鳩尾(多分そう)に入ったらしくて

お腹をおさえた先輩があたしを睨む。


「…ごごごめん、なさい…。」

火照ってたハズの顔が一転、

一気にさっきの寒さを取り戻しました。


「ゲホッ。……まぁ、今日は許す。」

ヤバい咳したよ今。


大丈夫かな。

本気でヤバい所ド突いちゃったかな。


「…フゥー…。…よっし。」

落ち着いて一息ついた先輩は、

どうやら呼吸とか(その他諸々も)は

落ち着いたらしい。


「ん。」


「……?」

お腹をおさえていた手を、

先輩はあたしに差し出した。


綺麗な手。ホントに綺麗。

……うん。綺麗。マジ綺麗。


「何ずっと見てんだよ…。」


「…え、…。」

いや、あなたの手を見ているんですが。


「帰るだろ?」


「………は、はい…。」


「だから手。」


「……て?」

どういうことだろう。


あたしが首を傾げると、

先輩は溜め息をついた。結構深めの。


え、え、ごめんなさい。




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