未来へのボール*WINTER*

「手、繋ぐんだよ。」


「…つ、なぐ?」

え、そ、それって…もしかしなくても。


「手ェ冷えてきた。早くしろ。」

この綺麗な手とあたしの手を⁉︎


「え、え、えぇぇ…。」


「……。」

うわうわうわ。どうしよ。


「ラル。」

先輩の手があたしの手に触れる。


「う、あ…。」

冷んやり、冷たかった。


「俺、"彼氏"だろ。」

するり。あたしの指の間に

先輩の指が入ってくる。


「な?」


「ゔっ…。」

また、その顔。


じわじわじわじわ。

冷めたハズの頰が火照る音がする。


その顔は卑怯だ。

何も言えなくなってしまう。


「……はい。」

この一言以外は。


「よし。」

先輩が握ってくる手を

あたしは握り返した。




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