未来へのボール*WINTER*
ぎゅう…っと、ライの手を強く握る。
握り返してくれたら…なんて
期待するあたしはやっぱり
ライに起きて欲しいのかもしれない。
「………。」
《ガラガラ…》
「あら、ラルちゃん。」
「…………どうも。」
「また来てくれたのね。」
「…いえ。もう帰ろうかと。」
そっと、ライの手を放した。
「ライ君、今日も綺麗な顔よね。」
「………はい。」
「ラルちゃんにそっくりで。」
…………またか。
「あたしは普通ですよ。」
何回も同じ会話。
「まーたー。フフッ。」
「じゃあ…あたしはこれで。」
「えぇー…もう帰るの?」
「ライの顔見れたので。」
「そう…。またいらっしゃい。」
「………はい。」
《ガラガラ…》
あたしは、病院を後にした。