未来へのボール*WINTER*
《ガタンッ》
上履きを脱ぐ時間が、
外履きを下駄箱から出す時間が、
外履きを履いて走り出すまでの時間が
自分の行動全てがもどかしい。
「……ぅゎっ…。」
少し転びかけた。
体勢を立て直して、また走る。
「?おーい、どうしたーーっ。」
校庭に居た体育教師の声なんて、
全く聴こえなかった。
左手に携帯電話を持ったまま、
校門を通って走る。
「ハァッ……ハァッ…、ハァッ…。」
息は途切れ途切れ。
けど、苦しくなんかない。
《カッ、カッ、カッ》
ローファー、走りにくい。
………速く、速く。
走った。