未来へのボール*WINTER*

自動ドアをくぐる。

その後もまた走ろうと思ったら。


「ラルちゃん!」

ライの面倒を見てくれている、

看護師さんに呼び止められた。


そこであたしは始めて

自分の意思で足を止めた。


「良かった!電話出ないから…。

って、学校だものね。当たり前か。

…ライ君だけど。

ついさっき……---たの。」


「…っ、本当ですか⁉︎」

柄にも無く大きな声を張り上げる。


「えぇ。……行ってあげて?」


「……っ、ありがとうございます。」

看護師さんにそう伝えたら、

また走る。


ここが病院ということも忘れて。


《ガシャンッ‼︎》

その部屋の前まで全速力で

あたしは走って、その部屋のドアを

思うがまま勢い良く開けた。


大きな音がしてしまったけど、

気にする暇も無い。


「ハァッ……ハァッ、………ハァッ…。」

立ち止まる。


目の前の真っ白な部屋を見つめた。

その中で、確かに動いた、白。


《ギシッ…》

夢かと、思った。




< 47 / 130 >

この作品をシェア

pagetop