未来へのボール*WINTER*
自動ドアをくぐる。
その後もまた走ろうと思ったら。
「ラルちゃん!」
ライの面倒を見てくれている、
看護師さんに呼び止められた。
そこであたしは始めて
自分の意思で足を止めた。
「良かった!電話出ないから…。
って、学校だものね。当たり前か。
…ライ君だけど。
ついさっき……---たの。」
「…っ、本当ですか⁉︎」
柄にも無く大きな声を張り上げる。
「えぇ。……行ってあげて?」
「……っ、ありがとうございます。」
看護師さんにそう伝えたら、
また走る。
ここが病院ということも忘れて。
《ガシャンッ‼︎》
その部屋の前まで全速力で
あたしは走って、その部屋のドアを
思うがまま勢い良く開けた。
大きな音がしてしまったけど、
気にする暇も無い。
「ハァッ……ハァッ、………ハァッ…。」
立ち止まる。
目の前の真っ白な部屋を見つめた。
その中で、確かに動いた、白。
《ギシッ…》
夢かと、思った。