未来へのボール*WINTER*
「……何だ、そんなに慌てて。
ドアくらい静かに開けろよ。」
「……っ…。」
掠れた、あの時よりほんの少し低い声。
嘘。嘘だ。
「……?…あぁ、そっか。」
どんどん歪んでいく、目の前。
夢みたいだ。
……開いてる。
「……すまん。」
「……っ…。」
固く閉ざされた、あの瞼が。
「…ラル。」
機械によって成された居た呼吸も。
声を何度掛けても反応しなかった
その表情も。
「………ただいま?」
「………っ………。」
全てが、元通りな気がして。
あぁ、やっと…やっとだ。
「………ライっ……。」
…やっと、1人じゃなくなった。