未来へのボール*WINTER*

「……夢を、見ました…。

暖かくて…優しくて…懐かしくて…。」

怖い夢ではなかったのか?


「……悲しい…夢を。」

ラルの声はまだ途切れ途切れで、

弱々しかった。


「………でも、夢だけど…夢じゃない…

現実に、起こってしまった…あたしが

起こしてしまった…重い…罪…。」


「………罪?」

ラルは何を言っているのだろう。


腕の中に居るラルは…

今までに無いくらい震えていた。


「………許されるハズ…無いのに…。

あたしは…また……っ…。」


「……ラル?」

悲痛を訴えるばかりのラルの声に、

俺はひどく戸惑った。


その為、ずっと強く

抱き締めていた腕を解き、

ラルの顔を見た。


「………っ。」

ラルは下を向いていて、

顔は見えなかった。


「……ラル、顔。

…顔、上げてくれよ…。」


「………。」

ラルは、ゆっくりと顔を上げた。




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