未来へのボール*WINTER*
ぐいっ。
「……ゎっ…。」
《ギシギシッ》
ベッドのスプリングが鳴る。
…椅子から立ち上がると、
急に腕を引かれて、ライの
近くに座る大勢になってしまった。
「……ライ?」
「……今だけ。」
「うん。」
「…今だけ俺ら、1つに戻るから。」
「……え。」
すると、またその状態のまま
また腕を引かれて、
あたしはライの腕に包まれた。
……懐かしい、この感覚。
「……ライ。」
「…今だけ。今だけで良いから…。
俺とお前で…2人で、1つだ…。」
まるで、片割れと片割れを寄り添わせて
1つに戻そうとするような、
そんな言い方。
ぎゅう…と、まだあまり
力の入らないだろうその細腕に、
いっぱいいっぱい締め付けられて。
あたしとライの隙間はほとんど無くて。
「……だから…、泣いてるのは、
俺じゃなくて…お前でもない…。」
「………、分かった…。」
密着する体は、本当に
1つになってしまったのかのように
動かない。
方に、温かく湿ったモノを感じた。
……ライが、泣いているんだ。
「…ごめんな、ラル…。」
次に聞いたライの声は震えていた。
「何で…?」
謝る理由は分からなかった。