未来へのボール*WINTER*

「…父さんと母さんが死んだって聞いて

一瞬。……一瞬だけだけど、

ラルを憎く思ったんだ。」


「……。」

……正直、ホッとした。


ここでもし、あたしが悪いと、

ライが微塵も思わなかったと言ったら…

あたしはきっと…、

ライを疑ってしまっただろうから。


ライにとって、

お父さんとお母さんとの時間は

そんなに直ぐに

諦められるモノだったのかと。


…だから、ライがあたしを

憎く感じたことに

あたしは安心してしまったんだ。


「……ライ。良いの。」

やっぱりライは、片割れだと。


あたしはライの1部で、

ライもあたしの1部なんだって

分かったから。


「……生きて帰って来てくれて、

…ありがとう。」

この1言を言えただけで、

あたしは凄く幸せなんだと思う。




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