未来へのボール*WINTER*
「……ラル……っ…。」
ライの腕の力が増した。
あたしも負けずに抱きしめる。
ピッタリと、体はくっついている。
「………ねぇライ、…何か、
くっつき過ぎじゃない?あたし達。」
恋人みたい。
「…お前、空気読めよ…。」
ズビ、と鼻を啜る音がした。
「……だって、ねぇ?」
「………分かったから、少し待って。」
「え、分かったの?凄いねライ。」
「もーいーから、少し黙ってろ!」
……怒られた。
きっとライは、泣き顔を
見られたくないんだろうなぁ。
となると…落ち着くまで
この状態が続くのか…まぁ良いけど。
スンスンとまだ小さく鼻を啜る音だけ
病室に響いていた。