未来へのボール*WINTER*

「……で?」

10分程経っただろうか。


お互いの存在を確かめ合って、

あたし達は2人に戻っていた。


「で?」

何がで。


「俺、いつ退院出来んのかな。」


「あぁー…。身体、動くの?」

ずっと昏睡状態だったから、

身体は思うように動かないと思う。


「いや…力入らねぇな。」

…そうだよね。


「じゃあ、先生に聞いてこようか?」

医者の、先生。


「あー…今はいい。

…で、その。ラルはさ…えっと。」

…何だろう。ライの目が泳いでる。


何か言い出しにくいことなのかな。


「良いよ。何?」

今回ばかりは優しく接しよう。


「その…ラルは、今何処に住んでんの?」


「あぁー。翼君と黎ちゃんの所。」


「……あれ、翼君

アメリカじゃなかったっけ?」


「今年の春に日本に戻ってきた。

だからあたしも、去年まであっち。」

まぁ、ライはずっと日本の病院に居たし

そのライのお見舞いのために

あたしもしばしば

日本に戻ってたんだけどね。


「学校は?」


「普通に公立高校。

歩きで通える距離にある所。」


「……そっか。」


「他には、何かある?聞きたいこと。」


「んー…。」

こうして、普通にライと話が出来て、

あたしはまだ、

夢を見てるんじゃないかと思う。


「バスケ、続けてる?」


「…え……。」

けど、一瞬で現実に戻った。




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