未来へのボール*WINTER*

何を言ってるの、ライ。


「……続けてるわけ、ないじゃん…。」


「……何で。」

だって…

続けられるわけがなかった。


"あの人"によって

1度揺らいでしまったけれど、

あたしの中でバスケは…

もう、終わってしまっているのだから。


「……あの事故の原因はあたし。

あたしが、

バスケの試合になんて出てたから。」


「は?ラル、お前…何言って…。」


「ライ。あのね、

ただの屁理屈かもしれないけど、

結果論なのかもしれないけど。」

けど、こうなったのは。


「あの事故が、あの時間、あの場所で、

あんな風に起こってしまったのは、

ライ達が試合会場に向かってたから。」

そう、あの悲劇は。


「あたしがバスケの試合に出ないで、

ライ達も会場に向かわなければ

あんな事故、起こらなかったんだよ。」

……この日までどれだけ恨んだだろう。

あの日を。あの車を。

自分の、積み重ねた日々を。


「もう、あたしはあの世界に戻れない。」


「……ラル…。」

怖い。怖い。


1度起きてしまうと、人間はもう1度

起こるんじゃないかと思ってしまう。

例えそれが、良い事でも、悪い事でも。


……怖い。





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