未来へのボール*WINTER*
「俺、ラルの兄貴で片割れだし、
ラルの考えてること、
人より分かってるつもりだよ。」
…否定なんて出来るはずもない。
だって、あたしもそうだから。
「俺は、リハビリ?
終わったらバスケやるつもり。」
「……。」
「バスケが好きだし、辞める理由もない。
他にやることも無いしな。」
起きたばかりなのに、ライは饒舌だ。
「何より、母さんも父さんも
バスケが好きだから。」
「……えっ……。」
俯いた顔を一気に上げた。
天井を見上げていたライは、
あたしの方に視線を向けていた。
「お前もっと考えてみろよ。
あの日…なんの為に父さん、
車急がせたと思ってんの。
お前の試合が見たかったからだろ。」
「………う、そ…。」
「普段はスピードに関して煩い母さんも
早く早くって父さんを急かしてた。」
「………っ………、…。」
「お前のバスケやってる姿を見る為に
死んだんだよ。父さんも、母さんも。」
「………だったら…。」
やっぱり、あたしが殺したんだ。
お父さんも、お母さんも。
「だったら、誰のせいでもない、
父さんと母さんのせいだ。」
あと、運な。
と、後から付け足すように言うライ。
「そ、そんな都合の良いこと…!」
「あー、もう。」
呆れたように頭眉を顰めるライ。