未来へのボール*WINTER*

「ほー。んじゃ、お前

思いっきり避けられてんじゃんよ。」

…人が気にしてることをズケズケと。


「相当サクに会いたくないんだな。

まぁ、不登校じゃないだけマシか。」


「……もう良いだろうが。

お前と喋ってたら予定全然立たん。

俺はもう帰る。」


《ガタッ》

レムが言っていることは全部合ってる。

事実や、俺の考えそのものだった。


…自分では、

普通に接してるつもりだったんだがな。

レム以外の奴も

俺の変化に気づいただろうか。


「サクさー。」


「…。」

鞄に荷物を詰める俺に

レムはまだ椅子に座ったまま話す。


「1回、全部吐き出してきたら?」


「は?」

急に何を言うんだか。


「吐くことなんてねぇよ。」


「おー。俺に吐くこと

あったら困るな確かに。」


「それは数え切れない程あるな。」


「ひでぇ…。って、

俺じゃなくて、ラルにだよ。

俺の言いたいこと、1回目で

否定したっつーことは、分かんだろ?」


「だからねぇって…。」

何度も言わせるな。


ラルに吐き出したいことなんて、

あったとしても言えるわけがない。


「ラルに質問なんてしなくていーし。

お前が持ってる"疑問"じゃなくて、

"事実"を言えば良いだけだし。」


「はぁ?意味分かんねえ。帰る。」

荷物を詰め終えた俺は、

鞄を肩に掛けて教室の出口に向かう。


《ガラッ》


「お前が、どんなラルを見てんのか

正直に思ったまま言えば良いだろ。」


「…。」


「学校で会えないじゃなくて、

学校で会えないなら、

学校だろうが外だろうが、

会いに行けば良いだろうが。」


「…っせぇな。何なんだよレム。」

何でヘラヘラ笑ってねぇんだ。


何でそんなに真剣に言うんだよ。

お陰で馬鹿にして軽く流す空気が

全く作れねぇじゃねぇか。





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