未来へのボール*WINTER*
「……っ…。」
嫌だ。
こんな状態のラルを1人にしたら、
それこそ消えてしまう。
そう思うのに…
俺は一言も発することは出来なかった。
「……。」
「……。」
この沈黙が辛かった。
「…………ラル。」
俺は、ラルに聞いた。
「俺は、ここに居ない方が良いのか?」
酷く暗く、虚ろな瞳を見て聞いた。
「……………。」
ラルは何も言わずに頷いただけだった。
「…分かった。俺、今日は帰るから。
また学校でな。」
「…………はい…。」
この時は本当に小さくだが、
返事をしてくれたことが嬉しかった。
《ガラガラ…》
「またな。」
出来る限りの笑顔を浮かべ、
俺はラルに別れの言葉を述べた。
「………やっぱり…もう…駄目かな…。」
俺が去った後、真っ暗な病室に
ラルの細々とした声が響き、消えたのは
俺は知るよしもなかった。