未来へのボール*WINTER*
ドクン。
ドクン。
凄い。心臓の動く音が聴こえる。
1試合走った後より、凄い音。
「やっと、こっち見たな。」
「………あ……。」
無意識に、
サクト先輩の方を向いてしまった。
そこには、いつも通りの
サクト先輩が居た。
『ラル。好きだ。』
アレは…幻聴?
「俺なりに、ちゃんと考えた。」
頬に触れるのは、何?
「ラルが居なくなるのが辛い。」
温かい…。
これ、手?
「ラルが好きだ。」
「……っ…。」
また。
さっきのも、幻聴では無かったらしい。
「お前が、バスケをやろうがやらまいが。
俺には関係ない。」
「………。」
「でも。今の俺には、
バスケしかお前と繋がるモノが無い。
だから、俺はお前と繋がっている為に
お前の退部届けを破いた。」
「……っ…。」
「お前の、"全て"とやらを。」