未来へのボール*WINTER*
どうしよう。
サクト先輩が取った行動は
あたしにとって本当に予想外で。
あたしが動揺するのは当たり前だった。
「……し、信じられません。」
否定。
この時のあたしには
こんな言葉しか思い浮かばなかった。
偽りは無かった。
信じられなかったのは本当だった。
「お前が信じられなくても、
俺が言ってることは事実だ。」
……でも。
「信じられないって言うなら、
信じられるようになるまで言ってやる。
ラルのことが好きだってな。」
「……なっ…。」
真っ直ぐ、迷いを見せず
そんな瞳を向けられてしまえば…
あたしの心は揺れ動く。
「お前が本当にバスケをしたくないなら
俺は別にそれでも構わない。」
「……。」
掴まれた腕を振り解こうと引っ張った。
……けど、先輩は離さない。
「ラルが、"ラル"で居れるなら。」