未来へのボール*WINTER*

「……な、何ですかソレ…。

意味が分かりません。

あたしはあたしです。ずっと。」

手を、放して。


「じゃあ、その目やめろよ。」


「……は?」

何を…。


「その、グラッグラで。一々動揺して。

情けない目ぇやめろよ。」


「……っ。」


「"橘羅琉"の目は、そんな目じゃない。」


「……そ、そんなのっ、

先輩に分かるワケないでしょうっ。」

もう嫌だ。

声まで震えて、情けない。


先輩に向けている目の様に。


「何もかもから逃げてるお前よりは

俺はずっと"ラル"を知ってるつもりだ。」


「……っ!」

逃げてる。


そんなこと、

分かり切っていた事だったのに…

どうしてサクト先輩に言われるだけで

こんなに哀しくなるの。




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