未来へのボール*WINTER*
「……俺はさ、
お前を追い詰めたいワケじゃない。」
先輩の真っ直ぐな瞳を見ていられなくて
あたしは先輩に腕を掴まれたまま
床に視線を落とした。
「俺は、お前が好きだ。」
「……。」
もう3度目だ、その言葉。
その、夢の様な言葉。
夢の様な言葉なのに
素直に受け取れないのは
あたしが…逃げてるから。
「だから、お前が迷うことがあれば
導いてやりたいんだ。」
『どうしようもない時は、
俺が手を貸すから。』
……あの時の、言葉。
「…前も言ったんだけどな。
同じ様なこと。
まぁ、覚えてないだろうけど。」
「…っ、覚えてま…っ…。」
……しまった。
「…、覚えてる?」
……言わなければよかった。
「……、ラルは、さ。
一体何から逃げてるんだよ。」
「……べ、つに…。」
逃げてなんか無い…なんて、
今ここで言ったところで
全く意味を成さないだろう。
"何から"…か。