未来へのボール*WINTER*
ーーー…。
「ラル。」
ふわり。
優しい…香りと温もりを感じた。
縋り付いてしまいたい程だ。
「お前は、1人なんかじゃないよ。」
「…。」
背中を撫でる温もりが、
酷く心地よくて…懐かしかった。
「お前の兄貴は、
居なくならなかったろ?」
「…。」
広い背中に、手を伸ばしかけて、
途中で止まる。
「お前のとこに、
ちゃんと戻ってきたろ?」
「…っ…。」
目頭に熱がこもる。
「兄貴だけじゃない。」
手が震えた。
「俺だって、消えたりしないよ。」
あたしの手が動いて、
先輩の背中に触れた。
「だから、安心しろ。」
「…。」
優しい声。
「お前の側に居るから。」
「……ぅっ…。」
優しい言葉。
「ラルは、1人じゃない。」
「……は、い。」
ぎゅう…っと、
離さまいと先輩の背中にしがみ付いた。
涙が出た。