未来へのボール*WINTER*

「お、コンビニ寄ってくか?」

いつもの道のり。


そして、このコンビニの前を通る度

サクト先輩はこの質問をする。


「寄りませんよ。

てゆうか、ここで買わなくても

病院に売店あるじゃないですか。」


「まぁ、そうだけどさ。」

そう、あたしとサクト先輩は

これから病院に行くのだ。


「チョコ食いたいって言ってたから。」


「…あんまし太らせないで下さいよ。」


「いや寧ろ、もっと太るべきだろ。」


「…健康的に、太らせるべきです。」


「細かいなー。」


「常識だと思います。」

会話は、続く。


こういう何気ない会話が嬉しい。

相手が、サクト先輩なのが嬉しい。


「…寒いですね。」

喋る度、その言葉は

白い靄となって消える。


もう2月の半ば。

寒いのは当たり前だった。


「ん。冬だしな。」


「…。」

隣に、あたしのモノではない

白い靄が見えるのが嬉しかった。


隣に、あなたが居てくれると

実感できる気がして。




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