悪魔は人に依存する


「肩透かし」


人間は悪魔よりも凶悪だ、と悪魔(本場)に言わせるほど恐れられて、男もまたそれを真に受けていたのに、召喚されてみれば、何のことはない女だった。


いや、悪魔の類いを召喚できるだけあって能力としてはそこいらの人間、魔術師よりも頭一つ抜きん出ているのだろうが、今の一連を思い返しただけでも、何かの冗談だと思えてくる。


どこか抜けていて、ドジをよくするくせに、懲りずに頑張り。更には下僕のワガママも聞いてくれる。


お人好しというか、優しいんだけど、あれはやはりお人好しなんだろうと思う。


「それで――」


悪魔(俺)を愛してくれるだなんて、反則じゃないか。


それ以上の愛で応えたくなってしまうから。


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