悪魔は人に依存する


ほとほと、自分はシキミにぞっこんなのだと笑いを噛み締めながら、立ち上がる。


向かうはバスルーム。シャワーを浴びている無防備な背中に指を這わせた。


ひゃうっ、と子犬みたく驚かれたあと、振り向きざまにシャワーのお湯をかけられた。


「び、びっくりした」


「そうでもないでしょ?俺は、シキミがしてほしいことをするんだから」


こうして追いかけて来ることも、シキミが望むから。


「流しちゃった?最後までしてないのに」


「しなくていいですっ。食事以上のことはしないっ」


お湯と共に男を追い出す気か。浴びせられるシャワーを何食わぬ顔で浴びながら、シキミの手を取る。


「もう、してる」


愛し合ったのは前々から。相思相愛の証は既に、互いの体が覚えている。


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