悪魔は人に依存する


「いつまでも、人の体に……!」


汚いものへの嫌悪はもとより。


「俺の体は、シキミのためにあるんだ!」


汚い体では、彼女を抱けない。


ああ、ならばこの巻き付く舌が憎らしい。


憎たらしいのだ。
なのに自身には何の力もない。


ただ思うのみ。


憎悪を膨らませ、爆発するその瞬間、人は必ず思うんだ。


「殺してやる……!」


憎いからこそ叫んだ。端から見れば負け犬の遠吠え。敗者の悪あがきにせよ、当たって砕けろの成果は出た。


当たって砕けたのは何も自分ではなく――


「いぎゃああぁ!」


初めての悲鳴を上げたデウムスであった。


何千とあった舌が、文字通り、“千切れた”。


< 46 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop