悪魔は人に依存する
「いつまでも、人の体に……!」
汚いものへの嫌悪はもとより。
「俺の体は、シキミのためにあるんだ!」
汚い体では、彼女を抱けない。
ああ、ならばこの巻き付く舌が憎らしい。
憎たらしいのだ。
なのに自身には何の力もない。
ただ思うのみ。
憎悪を膨らませ、爆発するその瞬間、人は必ず思うんだ。
「殺してやる……!」
憎いからこそ叫んだ。端から見れば負け犬の遠吠え。敗者の悪あがきにせよ、当たって砕けろの成果は出た。
当たって砕けたのは何も自分ではなく――
「いぎゃああぁ!」
初めての悲鳴を上げたデウムスであった。
何千とあった舌が、文字通り、“千切れた”。