悪魔は人に依存する
「どうも何も」
分からないからこそ、放心してしまったんだ。
自分で何かをした自覚はない。けれども、『これは俺がやったんだ』と実感はしてしまう。
「まさか……」
自身の手のひらを見たところで、何かを掴めるわけもなかった。
考えがまとまらない。されども、そんなアガトを待つ敵などいないんだ。
「いぎいいぃ、あ゛あぁ!」
悲鳴に憤怒を交えたデウムスが、鉄槌のような鼻を叩き落とす。
「どわっ!」
ぎりぎり免れた両者であったが、インプは羽虫らしく風圧により明後日の方向に飛ばされてしまった。
かくいうアガトは踏ん張るも、先ほどの二の舞。
またバランスを崩しての下りは確定事項でも、彼には別の手段ができたんだ。