悪魔は人に依存する


「言うことを聞かせたいなら、それこそ鎖で繋いで、鞭で叩いたり、食事を与えなかったり、なんて罰を与えればいいのに」


「しませんよ、私は」


「他の召喚師はそうしているけど。もっと言えば、悪魔なんて明らかな不浄にはなおのこと。“悪魔を痛め付けても、神様は怒らないからね”」


誰にも罰せられないから、傷つける罪は許される。


物に八つ当たりをしたところで、いったい誰が怒ろうか。


「俺はシキミの物なんだ。嫌なことあるなら、傷つけていいんだよ」


「私がやらないと分かっていて、そんなことを言ってますねー」


お見通しですよ、とふざけるようにシキミは男の髪をくしゃくしゃにした。


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