悪魔は人に依存する


一族の汚点だと罵られたのは事実であるからまだ許容できた。傷つけられても怒ることもなかったが――今は、違うんだ。


「シキミが、いるから」


俺を愛してくれている彼女がいるから、俺は俺をないがしろにはできなくなったし。


「傷つけようとする奴が、憎い」


殺したいほどに。
殺される前に、殺したくなる。


平和ボケとはおさらばだ、何せもう。


「俺は、誰でも殺せるから」


憎いもの全てを。


「千千になって、地に落ちろ」


微塵と化せる。


デウムスの脂肪が削ぎ落とされていく。


かまいたちでは生ぬるい。ひしめく刃の洗礼でも浴びているような殺傷。


寸断、切断、分割、分離、散々、千千。


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