悪魔は人に依存する
それでもデウムスは無くなった脂肪を補おうと、溝をまた別の脂肪で埋めていくが、再生した箇所もまた例外なく切断される。
アガトは何かをしているわけじゃない。空中に停滞して、眺めているだけ。
“殺したいほど憎い”、との思いを内に置いたままに。
崩れていく肉の山は、肉の絨毯へと早変わる。
ラードの海の中から、先ほど呑まれた魚人が顔を出して、その中を泳いでいた。
「おう、てめえらっ。誰に助けられたと思ってんだ!あちらにおわすダンナがいなけりゃあ、てめえらは今頃、脂肪の一部に――って、聞けやああぁ!」
魚人に話しかける出戻りインプの意図が分からず、アガトは降下した。
魚人たちが残骸(ラード)を食するあたり、デウムスは完全に絶命したのだろう。死んだと知って、インプも戻ってきたのだろうし。