悪魔は人に依存する
悪魔は愛を憎んだ
(一)
ルビーを手にしてからは、体感時間が早いことこの上ない。
シキミに見せて喜ばせたい、凄いと誉められたい。だなんて、召喚物に相応しい形でもあったか。
犬みたいだ、と思えど、アガトは手にしたルビーがシキミに渡る想像しかしていなかった。
召喚師が召喚物を呼び出すさいは、一方通行。召喚物(こちら)はいくら願っても、召喚師のもとには届かない。
それを歯がゆいと感じる召喚物は少ないであろう。主従関係がはっきりしている中で、主人に呼ばれて喜ぶ奴隷はそうそういない。
恋人という関係性だからこそ、アガトは人一倍に恋い焦がれてみせた。
そわそわと落ち着かない。こんな恥ずかしい自分は見せたくないものだから、付きまとうインプから逃げて、今は一人。