悪魔は人に依存する


「だとしたら、幸いだな」


呼び出した瞬間に、家ごと潰れていたと言っておく。


外の風景や、本棚にある本(背表紙)の文字。そうして宝石飲んだ悪魔がいると噂を聞いている以上、ここはシキミがいる世界と同じかと判断する。


「デウムスはもういない」


「んん?なにん、あなた、殺したん?」


答えるよりも見せた方が早いと、ルビーを取り出してみせた。


「ますます、びっくりん。へええー、最近のデウムスは一筋縄じゃいかないって聞いていたんだけどん。うわ、ワタクシ、あなたと契約したいよん。スペシャルなワタクシ、オドエーヌの名を持って、あなたを縛りたいわけん」


「しない。お前みたいなふざけた奴など主人と認めるか。俺はシキミ以外の奴に興味ない」


つい口走ってしまった彼女の名は、言う必要なかったかと口を閉じるも、ばっちり聞いた男――オドエーヌは、椅子からずり落ちる大袈裟なリアクションをした。


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