悪魔は人に依存する
「よそはよそで行くならそうしてもらいたいところだけど、“友人”ねぇ」
それが取っ掛かりだったか、男は困ったように手で首を撫でた。
「俺は、シキミの恋人でいたいんだけど」
「悪魔と人間です」
「こんなことしてるのに」
「これはあなたがこっちで、息をするための食事じゃないですか」
「それこそ、だ。馴染まない世界で息をするために、その世界の召喚師の一部を貰う。だったら、髪でも爪でも、血液、唾液でもいいのに、シキミがくれるのはいつもそれじゃないか」
「あなたが『他のものはイヤだ』とか言う変態だからですよ、それっ」
「へんた……」
軽く傷つく言葉だった。