悪魔は人に依存する


「さっきの話に戻るけど、俺のワガママなんてシキミは聞かなくてもいいんだよ?こっちは下僕――シキミは友人だとか言うけど、本来、悪魔(召喚物)と人間(召喚師)の関係性って主従関係だからね。

なのに君は、俺がイヤだと言えば聞いてくれているし、舐めてみれば、気持ち良くなるあたり、ほんとはまんざらでも――」


枕が男の顔にクリーンヒットした。


「ケダモノですっ」


捨て台詞か、シキミはそう言い残し、寝室を後にした。


シャワーでも浴びるとは言われなくても分かった。


「君が俺をお見通しなら、俺も君を知り尽くしているのに」


隠しても無駄だ、とこの時、シキミが男に何をねだっているかも分かっていた。


理性を剥ぎ取った本能を見る。命令されずとも察してみせて、ただ自分はシキミのために行動する下僕。


もっとも、当人は一度も男を下僕扱いしたことはない。


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